花色木綿-藍色のお話

15:22

むかし、むかしに縹色、千草色という美しい藍染めが流行し、
村々の女たちは花色木綿と呼んでその色の着物が着たいと憧れていました。

ある村のある日の夕暮れ、木戸を閉めようとしている呉服屋さんに
色白のかわいい娘さんが「花色木綿、一反下さい」といって、
村はずれにあるお寺の通帖を差し出しました。
店の者はお寺にこんなかわいい娘がいたのかなとおもいつつ反物を渡し、
月末になって番頭さんが代金を受け取りにお寺に出かけますと、
花色木綿を買った覚えはないし、寺には若い娘などおらぬと叱られましたが、
帖面には確かに書入れがあると番頭さんもゆずらず、
和尚さんと押し問答が繰り返されているとき
「みなさん早くはやく来てください」
と山に薪を取りに出かけたはずの小僧さんの声がします。
「なんだ、なんだ」。
和尚さんも番頭さんも飛び出し、小僧さんについて裏山に駈け出し、
指差される木立の中を見て驚きました。
白い狐が一匹、花色木綿を体に巻きつけて、楽しそうに踊っているのです。
「あっはっはっ・・・。わしの負けじゃ。
あの狐は確かにこの山に住んでおる。
山は寺のものとすれば、寺の住人が買ったことになる。
やっぱりわしが花色木綿の代金を払わねばならんのう」。
和尚さんの声が聞こえたのか、白狐は楽しそうに踊り続けたそうです。

参照*藍染め NHK美の壺 NHK出版

~藍色のお話~
祭りの晴れ着
昔々、ずっと昔のことです


























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