昔々、ずっと昔のことです-藍色のお話

18:17

山の神様オオヤマツノ命の妹娘コノハナサクヤ姫という美しい女神様が
侍女たちと野原で花摘みを楽しんでおられました。

その時一羽の白鳥が女神様の足許にうずくまりました。
よく見ると羽に矢が刺さり血が流れています。傷が痛いのか、
白鳥は目を閉じたまま動きません。

哀れと女神様は侍女たちに手伝わせ、まず矢を抜き傍らの草の葉で血を拭い、
草の汁を注がれますと緑色の汁は傷口から溢れて、不思議なことに爽やかな
青色となって白鳥の羽を彩りました。



女神様と侍女たちは思わず驚きの声をあげました。「まぁ、美しい」と。
優しい手当をしてもらって痛みも和らいだのか白鳥は青に染まった羽を
静かに羽ばたかせ、女神様たちの周りを二度三度、別れを惜しむかのように
廻り感謝の声をあげつつ空高く舞い上がっていきました。

白鳥の羽を美しく彩ったのは藍草だったのです。

女神様はそれで糸や布を染めよと、天から教えられたと悟られ、
人々に藍の草染めを伝えられたそうです。


参照* 藍染め NHK美の壺 NHK出版

~藍色のお話~
藍色木綿
祭りの晴れ着






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